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2011年04月08日

市内

 かなり昔、ほんの一時期東京都武蔵野市という市に住んでいた。
 位置的には、東京都杉並区や練馬区と接しているが、名前には、「区」ではなく「市」と付いている。

 その頃、よく行っていたトンカツ屋さんで、ようやく顔を覚えてもらった頃、店長に聞かれた。
 「お仕事は都内ですか?」

 会社は東京都内にあったので、「都内です」と答えた。
 一般論的には、東京以外で働くのに、東京に住んでいる人もあまりいないと思う。

 相変わらず、そのトンカツ屋には足繁く通っていた。

 今度は、店長が別のお客さんに「お仕事は都内ですか?」と聞いていた。
 シャイなのか、他に話すネタがないのだろうか?

 そのお客さんは、「前は都内だったのですが、今は三鷹です」と答えた。
 そして、「会社が、都内だと家賃が高いので、三鷹に移ったのです」と続けた。


 ???
 いつから東京都三鷹市は都内じゃなくなったのだろう? 

 その後の彼らの会話の中で、このワタクシは「都下」という言葉を聞き、どうもその意味は、「23区を除く東京都内」を指していることが判明し、そして「都内」は「東京都23区内」だけを指すということが判ってきた。
 このワタクシの元々の理解では、「都内=都下」であった。
 東京都内で一番野球の強い高校は23区内だけから選ばないだろうし、東京都下で一番野球の強い学校も23区を除いて選ばないはずである。


 数ヶ月後、このワタクシは、仕事で長崎に行った。
 そして、地元の人との会話の中で、「市内」は「長崎市内」だけを指すという驚愕の事実が分かった。

 「どちらにお住まいですか?」
 「市内です(=長崎市内です)」
 という会話が、長崎市"外"で普通に成立しているのである。
 このワタクシの感覚だと、「市内」だと「市」を特定して貰わないと困るのである。

 しかし、この「市内」という言葉は、どうやらこのワタクシが無知であっただけで、かなり全国的に使われているらしく、「県庁所在地」の「市内」を指しているようであることが判ってきた。
 青森の「市内」は、「青森市内」なのである。
 しかも、「市内」という言葉を使っている人に、さらに突っ込んで、「どこの市内ですか」と聞くと、そこまでは「市内です」と言っていたことを忘れたかのように、普通に「青森市内です」と答えるから、益々訳が分からない。(要するに、「市内です」の「市内」と「青森市内です」の「市内」は別の意味で使っていることになる。そうでないと、「青森青森市内です」というアホなことを言っていることになる)

 さらに全国行脚しているうちに、感覚的に判ってきたのは、県庁所在地が政令指定都市の場合は、「市内=県庁所在地市内」という言い方をしないことが多いと言うことである。
 札幌の人が「北海道のどちらですか」と聞かれたら「札幌です」と答えるケースが多いのに、金沢の人に「石川県のどちらですか」と聞くと「市内です」と答える人もいるという感じ。

 もちろん、こんなのは個人の感覚の話であり、移ろいゆくのが特性の言語の話なので、誰の言っている何が正しいなんてことはない。
 あくまでも、その人がどう使うかであり、相手も理解していれば何の問題もない。
  

 とはいえ、それをさらに追求したくなるのが、言語学者であるこのワタクシの性癖なので、自分なりの結論を出してみた。
 
 いくら日本が狭いと言っても(実際には、世界的に見て狭いとは思えないが)、一人一人の人間にとっては大きな土地である。
 しかし、その人間がどこに住んでいるかによって、ヒトククリにしようとする範囲が変わってくるはずである。
 通常は、そのヒトククリにするべき範囲は、国家であったり、国家が決めた下位の行政範囲なのだが、その行政単位には、大きいものがあったり小さいものがあったりする。人口もバラバラである。

 政令指定都市のない県においては、たいて県庁所在地の都市が圧倒的に大きい。
 「市内」はその人たちの特権意識を表しているのではないかと思うのである。
 もしくは、「市内」に住んでいない人にとっては、「市内」に対する劣等意識かもしれない。
 特に「都内」と「都下」にはその意識を感じた。(もっとも、東京都は、ある意味例外かもしれないが)

 一方、政令指定都市のある県においては、政令指定都市もバカでかいが、その都市の周りにはその都市を支えている中規模の都市が乱立している。
 普段の生活においても「さまざまな市内」に住んでいる人が同時に交流しているので、「市内」だけではややこしくて仕方がない。


 いずれにしても、このワタクシが、「市内」とか「都内」とかを、特定の場所を表す意味で使うことは100%ないと思う。


(関連エントリー)
 「空間の占有権
 「本当の都会


ラベル:言語 東京
posted by ぱんちょ at 00:00| Comment(3) | ぱんちょな言語エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

この、それぞれの地域の事情や感覚、すごくよくわかる気がします。

ちなみに、あくまでも聞いた話ですが…
札幌の場合は、南区の奥の方に住んでる人たちは、自分も札幌に住んでるのに、市街地方面へ行く時に「札幌へ行く」と言い、訪問者には「札幌から来たの?」と訊いたりするらしいです。
訊かれた方は、市外へ来たつもりもないのに。

もしかして、昔はあのへんは札幌市じゃなかったのか?
Posted by miha at 2011年04月08日 12:36
そう、南区は昔(つっても1961年まで)は豊平町 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B1%8A%E5%B9%B3%E7%94%BA_%28%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93%29 で、その昔は平岸村となっていまして…住居表示見たら○○条○○丁目って地名じゃないのってだいたいもともとの札幌じゃないみたいですね。

という地理学者な自分は、必ず他の土地の人からは市名でも県名でもない博多としか言ってもらえない、福岡市民です。
福岡にしても那覇にしても、バス料金で「市内料金」ってのがあるから旧市街域の刷り込みって今の世代にもあるんだろうなーと考察してみたり。
Posted by たろー at 2011年04月11日 19:01
 なるほど。。。

 福岡や那覇の「市内料金」ってのは、運営母体が、福岡市や那覇市の交通局だからじゃないでしょうか。
Posted by ぱんちょ at 2011年04月12日 03:55
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